崩れるノートの山とあの子の気持ち。

(シグ→←アミから両思いの話。)



放課後のプリンプ魔導学校の誰もいない教室で少年が一人だけ居残りをしていた。

「なんかたいくつ。」

そう思って少年は珍しく教室を出た。
少年はきょろきょろと廊下を歩く。

たぶんあの子の事だからまだ学校にいるはず。シグは歩きながらそんな事を考えていた。

すると前方にノートを抱える少女がいた。あの子の事だから先生から頼まれたものだろう。
しかし、あまりにも沢山ノートを持っているために山が一つそびえたっており、足取りも危なっかしい。
今にもその山は倒壊寸前である。

少年は無意識に青い髪の上にある触覚を上下に動かすと、少女の元へ駆け寄る。

「アミティ、持つよ。」

少年は‐アミティと呼んだ‐少女から許可を得ずにアミティからノートを半分取る。
半分だけ取った理由は、以前一度だけアミティから荷物を全て持った際彼女が悲しい顔をしていたからだ。
少年はアミティのその顔を見て罪悪感を感じ、それ以降は半分にして持つようにしている。

「シグありがとー。」

アミティが‐シグと呼んだ‐少年を見つめて微笑んだ。でも少し悲しい顔をしている。

そんな顔を見たくてやったんじゃないんだけどな。とシグは心の中で呟く。
するとアミティが軽くなったノートを抱え直すとゆっくりと歩き出す。シグもアミティの歩調合わせて歩き出した。

少し歩いた所でアミティは困り果てて笑っているような顔をして、ぽつぽつと話だした。

「シグはあっという間に身長が伸びたよね。
ちょっと前まではあたしと一緒だったのに、なんか置いて行かれてるのかなと思うんだ。」

変だよね。とアミティがクスクスと笑うと、シグ今の話は気にしないでね。
と言うと、逃げるように歩調を少し早めた。

「最近アミティがラヘーナ達と遊んでいたから、僕もアミティに置いて行かれていくような気がしたよ。」

シグはそういうとアミティへ近寄る。

「僕、アミティのこと好きだから。絶対に置いて行かないよ。」

シグはそう言うとアミティは顔を真っ赤にして、持っていたノートをばさばさと全て落とした。

「ずっと前からアミティに言いたかった。」

シグはそう言うと、アミティの落としたノートを拾い始める。

「シグ、それって本当?」

アミティは赤くなった顔を両手で覆い、ボソボソと言う。
それを聞いたシグはノートを拾うのを止めるとアミティの両手を優しく握る。

「嘘じゃない、本当だよ。」

そう言うとシグはアミティの両手を顔から外し、彼女の唇に自分の唇を重ねた。
シグが顔を離し、アミティを見ると彼女はさっきより顔を真っ赤にしていたが、その顔には笑みがあった。
シグの大好きなアミティの笑顔があった。

「嬉しい。あたしもシグの事が大好きだよ!」

そう言うとアミティはシグに抱きついた。



⇒多分、一年前に書いていた物。今でも読み返しても恥ずかしい。
我が家のシグアミは見るやり場のないバカップルです。